統計データをダウンロードすると、いちばん左の列に「54382343」のような数字が並んでいます。住所も郵便番号も緯度経度も見当たらない。この数字だけを頼りに、自分の店の周りがどこなのかを探さなければならない——地域メッシュ統計を初めて開いたときに、多くの人がここで止まります。
この数字はメッシュコードといい、桁数がそのまま区画の大きさを表す設計になっています。しかも住所コードのように役所が任意に割り振ったものではなく、緯度と経度から計算で出せる数字です。仕組みが分かれば、コードを見ただけでその区画が日本のどこにあり、一辺が何メートルなのかが読めるようになります。
この記事では、総務省統計局が公表している資料と昭和48年の告示の本文をもとに、メッシュコードの桁数と区画の対応、緯度経度からの算出式、そして実務でつまずきやすい「1kmメッシュは正方形ではない」という点までを整理します。商圏分析の全体像から確認したい方は商圏分析のやり方 完全ガイドを先にご覧ください。
- 桁数と区画は1対1で対応する。4桁=約80km、6桁=約10km、8桁=約1km、9桁=約500m、10桁=約250m、11桁=約125m
- 4桁の上2桁は南端緯度を1.5倍した値、下2桁は西端経度の下2桁。緯度1度が第1次地域区画1.5個分にあたるため1.5を掛ける
- 500m・250m・125mメッシュの末尾の数字は、南西・南東・北西・北東の順に1〜4。方角の順番が独特なので暗記が要る
- 1kmメッシュは正方形ではない。統計局の資料では札幌市の1kmメッシュが横1,018m・面積0.943平方キロ、那覇市が横1,249m・面積1.153平方キロで、那覇のほうが約1.2倍大きい
メッシュコードは告示で決まっている
メッシュコードの根拠は、昭和48年7月12日の行政管理庁告示第143号「統計に用いる標準地域メッシュおよび標準地域メッシュ・コード」です。総務省統計局を始め国の行政機関が作成している地域メッシュ統計の主なものは、この告示の「標準地域メッシュ」を使って作成されています。
告示は標準地域メッシュを3種類に分けています。本文はこうです(逐語)。
統計に用いる標準地域メッシュは、基準地域メッシュ、基準地域メッシュを分割した地域メッシュ(以下「分割地域メッシュ」という。)および基準地域メッシュを統合した地域メッシュ(以下「統合地域メッシュ」という。)とする。
そして基準地域メッシュの作り方は、次の3ステップで定義されています(逐語)。
イ 第1次地域区画を経線方向および緯線方向に8等分して第2次地域区画を作る。
ウ 第2次地域区画を経線方向および緯線方向に10等分して第3次地域区画を作り、これを基準地域メッシュとする。
ここが出発点です。まず日本全体を大きな区画に切り、それを8等分、さらに10等分するという入れ子の構造になっており、コードもこの順番でつながっていきます。8等分・10等分という数字が、後で出てくる桁数の増え方を決めています。
なお、この方式で標準地域メッシュが設定される範囲は、統計局の資料によれば北緯20度から46度まで、東経122度から154度までです。東端が南鳥島(第1次地域区画のコード3653)、西端が与那国島(同3622)、南端が沖ノ鳥島(同3036)、北端が択捉島(同6848)とされています。
桁数と区画の大きさの対応表
実務でいちばん使うのがこの対応です。統計局の資料から、区画の種類・桁数・緯度経度の間隔・一辺の長さをまとめます。
| 区画の種類 | 桁数 | 緯度の間隔 | 経度の間隔 | 一辺の長さ |
|---|---|---|---|---|
| 第1次地域区画 | 4桁 | 40分 | 1度 | 約80km |
| 第2次地域区画 | 6桁 | 5分 | 7分30秒 | 約10km |
| 基準地域メッシュ(第3次地域区画) | 8桁 | 30秒 | 45秒 | 約1km |
| 2分の1地域メッシュ | 9桁 | 15秒 | 22.5秒 | 約500m |
| 4分の1地域メッシュ | 10桁 | 7.5秒 | 11.25秒 | 約250m |
| 8分の1地域メッシュ | 11桁 | 3.75秒 | 5.625秒 | 約125m |
つまりコードの桁数を数えるだけで、その行がどの大きさの区画なのかが分かります。ダウンロードしたファイルの先頭列が8桁なら1kmメッシュ、9桁なら500mメッシュです。国勢調査の500mメッシュ人口を扱うときに出てくる9桁のコードは、この表の4行目にあたります。
統計局の資料は、区画と地図の対応も示しています。第1次地域区画は国土地理院発行の20万分の1地勢図の1図葉の区画に、第2次地域区画は2万5千分の1地形図の1図葉の区画に、それぞれ一致します。紙の地形図の1枚分が、そのまま6桁のメッシュ1個ということです。
もうひとつ、告示は「統合地域メッシュ」も定めています。基準地域メッシュの辺の長さを2倍・5倍・10倍した区画で、統計局の資料は10倍した区画が第2次地域区画と同じになると説明しています。10倍地域メッシュのコードが6桁なのはそのためです。
4桁のコードの読み方
最初の4桁には、はっきりした意味があります。統計局の資料はこう説明しています。
資料が挙げている例で確かめます。コード「5438」は、南端が北緯36度・西端が東経139度の区画です。
- 上2桁:36 × 1.5 = 54
- 下2桁:138 の下2桁 = 38
なぜ1.5を掛けるのかも資料に明記があります。第1次地域区画は緯度40分ごとに区画されるため、緯度の1度が1.5区画分に相当する(1度 ÷ 40分 = 60分 ÷ 40分 = 1.5)からです。上2桁は、赤道から緯度方向に40分間隔で区分していったときの0から始まる通し番号を表しています。
逆算もできます。手元のコードが「5339」なら、53 ÷ 1.5 = 35.33…で南端緯度は北緯35度20分、西端経度は東経139度です。東京都心を含む区画がこれにあたります。4桁を見ただけで日本のどのあたりかが分かるのは、この定義があるからです。
5桁目以降は等分区画の番号です。統計局の資料によれば、第2次地域区画は第1次地域区画の縦の等分区画に南から0〜7、横の等分区画に西から0〜7の番号を付けます。基準地域メッシュ(第3次)は第2次地域区画の縦に南から0〜9、横に西から0〜9です。5桁目と7桁目が南北、6桁目と8桁目が東西という並びになります。
| 桁 | 意味 | 例(54382343) |
|---|---|---|
| 1〜2桁目 | 南端緯度 × 1.5 | 54(北緯36度) |
| 3〜4桁目 | 西端経度の下2桁 | 38(東経138度) |
| 5桁目 | 第2次の南北位置(南から0〜7) | 2 |
| 6桁目 | 第2次の東西位置(西から0〜7) | 3 |
| 7桁目 | 第3次の南北位置(南から0〜9) | 4 |
| 8桁目 | 第3次の東西位置(西から0〜9) | 3 |
500m以下のメッシュは番号の付け方が変わる
ここが最初のつまずきどころです。8桁目までは「南北の番号」と「東西の番号」が別々の桁に入っていましたが、9桁目以降は1桁で4分割の位置を表します。統計局の資料はこう説明しています。
南西=1、南東=2、北西=3、北東=4という順番です。左下から右へ、次に左上から右へ、というZ字型の並びで、時計回りでも反時計回りでもありません。ここを取り違えると、500mメッシュを地図に置いたときに区画が上下反転します。
4分の1地域メッシュ(250m)と8分の1地域メッシュ(125m)も、資料によれば2分の1地域メッシュと同じ順に1〜4の番号を付けます。つまり10桁目・11桁目も同じ「南西・南東・北西・北東」のルールです。一度覚えれば以降は共通です。
| 末尾の数字 | 位置 |
|---|---|
| 1 | 南西側(左下) |
| 2 | 南東側(右下) |
| 3 | 北西側(左上) |
| 4 | 北東側(右上) |
資料が挙げている例では、基準地域メッシュ「54382343」の南西側の500mメッシュが「543823431」、そのさらに南東側の250mメッシュが「5438234312」となります。桁を足していくほど、前の桁の区画の中に入っていくという読み方です。
緯度経度からコードを算出する式
メッシュコードは、任意の地点の緯度・経度から計算で出せます。統計局の資料が示している算出式をそのまま引用します(緯度・経度は10進数に変換して計算します)。
・ a÷5分=q 余りb
・ b×60秒÷30秒=r 余りc
・ c÷15秒=s 余りd
・ d÷7.5秒=t 余りe
・経度-100度=u 余りf
・ f×60分÷7分30秒=v 余りg
・ g×60秒÷45秒=w 余りh
・ h÷22.5秒=x 余りi
・ i÷11.25秒=y 余りj
・(s×2)+(x+1)=m
・(t×2)+(y+1)=n
これらを組み合わせると、コードは次のようになります。
- 基準地域メッシュ(8桁)= pu qv rw の順に組み合わせたもの
- 2分の1地域メッシュ(9桁)= pu qv rw m の順に組み合わせたもの
- 4分の1地域メッシュ(10桁)= pu qv rw m n の順に組み合わせたもの
緯度側と経度側を別々に割り算して、最後に交互に並べる、というのが式の骨格です。経度から100度を引くのがポイントで、これによって東経139度は39になり、コードの下2桁と一致します。
逆向きの変換もできます。資料によれば、pが第1次地域区画の上2桁、qが第2次の上1桁、rが基準地域メッシュの上1桁、uが第1次の下2桁、vが第2次の下1桁、wが基準地域メッシュの下1桁に対応します。コードを桁ごとにばらして逆算すれば、その区画の南端緯度と西端経度が出ます。
住所から緯度経度を得る手順そのものは住所から緯度経度への変換で扱っています。緯度経度が手に入れば、あとはこの式でメッシュコードに落とせます。
1kmメッシュは正方形ではない
ここは商圏の数字を出すときに必ず効いてくる話です。統計局の資料は、はっきりこう書いています。
資料が挙げている実数がこちらです(国土地理院の測量計算プログラムで算出したものと注記されています)。
| 都市 | 縦の長さ | 横の長さ | 面積 |
|---|---|---|---|
| 札幌市 | 926m | 1,018m | 0.943平方キロメートル |
| 那覇市 | 923m | 1,249m | 1.153平方キロメートル |
横の長さの差は231m、面積では那覇市のメッシュが札幌市の約1.2倍です。理由も資料に説明があります。地球が球体であることから、同じ経度間隔で区切られる緯度線の長さが高緯度になるほど短くなるためです。一方、縦の長さは926mと923mで3mしか違いません。南北方向はほぼ一定で、東西方向だけが緯度によって伸び縮みするという構造です。
これが実務に効くのは、次の2つの場面です。
- 人口密度を出すとき。「メッシュ1個=1平方キロ」として割ると、沖縄では約15パーセント過大に、北海道では約6パーセント過小に出ます
- 遠く離れた店舗を比べるとき。資料も「特に遠距離間で地域メッシュ統計を比較する際には、形状と大きさについて十分注意を払わなければなりません」と明記しています
逆にいえば、同じ市内で店舗を比べるぶんにはメッシュの大きさはほぼ揃っているため、この点を気にする必要はありません。北海道と沖縄の店を同じ表に並べるときだけ、面積で割った指標の扱いに注意すれば足ります。
商圏分析でどう効いてくるか
メッシュコードの仕組みが分かると、次の3つが自力でできるようになります。
第一に、複数の統計を同じ区画で重ねられます。統計局の資料は、地域メッシュ統計の特質として「統計調査ごとに独自に設定される調査区の区画や面積の相違にとらわれることなく、地域間比較や時系列比較など異なる統計調査の結果を同一の条件で分析できる」と説明しています。国勢調査の人口と経済センサスの事業所数を、同じ8桁コードで結合できるということです。経済センサスの事業所数を人口と並べて見たいときの土台になります。
第二に、市町村合併や区画変更の影響を受けません。同じ資料は利点として「地域メッシュは、その位置や区画が固定されていることから、市町村などの行政区域の境域変更や地形、地物の変化による調査区の設定変更などの影響を受けることがなく、地域事象の時系列的比較が容易です」と挙げています。10年前と今の人口を同じ区画で比べられるのは、この性質によります。
第三に、任意の範囲の合計を作れます。資料は「任意の地域について、その地域内の地域メッシュのデータを合算することにより、必要な地域のデータを容易に入手できます」としています。半径3km円に入るメッシュを拾って足せば、その円の商圏人口になります。この考え方は商圏人口の調べ方で扱っている手順そのものです。
ただし、この3つを手作業でやろうとすると、コードの計算、円との重なり判定、境界にかかるメッシュの按分といった処理が必要になります。jSTAT MAPの使い方のような公的な地図ツールを使う方法もありますが、地点を何度も動かして比べる用途には向きません。
よくある質問
メッシュコードの桁数が資料によって違うのはなぜですか?
桁数が区画の大きさを表しているためです。4桁は約80kmの第1次地域区画、6桁は約10kmの第2次地域区画、8桁は約1kmの基準地域メッシュ、9桁は約500m、10桁は約250m、11桁は約125mを指します。桁数が多いほど細かい区画になります。ダウンロードしたファイルの先頭列の桁数を数えれば、その統計がどの粒度で集計されているかが分かります。
コードの最初の4桁から場所を知ることはできますか?
できます。総務省統計局の資料によれば、上2桁は南端緯度を1.5倍した値、下2桁は西端経度の下2桁です。したがって上2桁を1.5で割れば南端の緯度、下2桁に100を足せば西端の経度になります。たとえば「5339」なら、53 ÷ 1.5 で北緯35度20分、39 + 100 で東経139度の区画です。
500mメッシュの末尾の1〜4は何を表していますか?
基準地域メッシュを4等分したときの位置です。統計局の資料は「南西側、南東側、北西側、北東側の順に1〜4の番号を付け」と説明しています。1が左下、2が右下、3が左上、4が右上です。250mメッシュと125mメッシュの末尾も同じ順番の番号が付きます。
1kmメッシュの面積は1平方キロメートルとして計算してよいですか?
厳密には違います。統計局の資料は、札幌市の基準地域メッシュが面積0.943平方キロメートル、那覇市が1.153平方キロメートルで、那覇市のほうが約1.2倍大きいとしています。南北方向の長さはほぼ一定(札幌926m・那覇923m)ですが、東西方向が緯度によって変わるためです。同じ市内での比較なら実務上の影響は小さいものの、遠く離れた地域どうしで人口密度を比べる場合は面積の違いを考慮してください。
メッシュコードと郵便番号や町丁目コードの違いは何ですか?
成り立ちが違います。メッシュコードは緯度・経度から計算で決まる区画の番号で、行政区域の変更や調査区の設定変更の影響を受けません。一方、町丁目コードは行政区域に紐づくため、合併や区画整理で変わることがあります。時系列で同じ場所を追いたいときはメッシュ、行政の統計や施策と突き合わせたいときは町丁目、という使い分けになります。町丁目単位のデータについては町丁目別人口の調べ方をご覧ください。
緯度経度からメッシュコードを出す計算式はどこで確認できますか?
総務省統計局が公表している「地域メッシュ統計の特質・沿革」に、緯度・経度を10進数に変換したうえでの割り算の手順と、基準地域メッシュ・2分の1地域メッシュ・4分の1地域メッシュそれぞれのコードの組み立て方が示されています。本記事の第5章に該当部分を引用しています。