候補地の資料に「都市計画道路 予定地」と一行だけ書かれていることがあります。物件情報にも登記簿にも詳しい説明は無く、営業担当に聞くと「まだ何十年も先の話です」と返ってくる。判断材料としては、これでは足りません。

都市計画道路にかかっている土地は、建てられる建物の種類が法律で絞られます。しかも制限は一段階ではなく、計画の進み具合に応じて三段階で強くなります。どの段階にあるかで、出店できるかどうかも、何年その場所を使えるかも変わります。

この記事では都市計画法の条文をもとに、都市計画道路とは何を指すのか、区域にかかると具体的に何が制限されるのかを整理します。商圏分析の全体像は商圏分析の完全ガイドをご覧ください。

結論

都市計画道路は、都市計画法第11条第1項第1号の「道路」が都市計画に定められたもので、法律上の呼び名は「都市計画施設」です。その区域内で建築物を建てるには第53条の許可が要ります。ただし第54条第3号は、階数2以下・地階なし・木造や鉄骨造などで容易に移転除却できるものであれば「その許可をしなければならない」と定めており、平屋や2階建ての店舗は建てられるのが原則です。制限が強くなるのは、その土地が第55条の事業予定地に指定されてから、そして第62条の告示(事業認可)が出てからの2段階です。

この記事の要点
  • 法律に「都市計画道路」という語は1回も出てこない。条文上は都市計画施設(第4条第6項)と「都市計画において定められた計画道路」
  • 区域内の建築は第53条の許可制。ただし禁止ではない
  • 第54条第3号は階数2以下・地階なし・木造や鉄骨造など・容易に移転除却できるなら「許可をしなければならない」と規定
  • 事業予定地に指定されると第55条により、その第54条の縛りが外れて許可しないことができるようになる
  • そのかわり第56条で時価での買取りを申し出ることができ、第57条では売却に届出義務がかかる
  • 事業認可の告示後は第65条により、建築だけでなく土地の形質の変更や物件の堆積まで許可が要る

条文には「都市計画道路」と書かれていない

都市計画法の全文を通して見ると、「都市計画道路」という語は1回も使われていません(編集部が e-Gov 法令検索の条文データで全文検索して確認)。実務で通っている呼び名で、条文上の用語ではありません。

条文の側から組み立てると、こうなります。第11条第1項は都市計画区域について都市計画に定めることができる施設を列挙しており、その第1号が「道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設」です。そして第4条第6項が「この法律において『都市計画施設』とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう」と定義しています。

「この法律において『都市施設』とは、都市計画において定められるべき第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。」(第4条第5項)
「この法律において『都市計画施設』とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。」(第4条第6項)

「都市施設」と「都市計画施設」は1字違いですが、都市計画に定められる前か後かで使い分けられています。定められた瞬間に都市計画施設になり、そこから後で述べる建築の制限が働きます。

なお第11条第2項は「都市施設については、都市計画に、都市施設の種類、名称、位置及び区域を定めるものとする」としています。名称と区域が都市計画として定められているので、都市計画図で線として表示できるわけです。用途地域と同じ図面で確認できることが多く、確認の経路は用途地域の調べ方と重なります。

区域にかかると建築が許可制になる

本題の制限は第53条です。

「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。」(第53条第1項)

ここで押さえたいのは、条文が「許可を受けなければならない」であって「建築してはならない」ではないことです。都市計画道路にかかっている土地を「建てられない土地」と説明されることがありますが、法律の建て付けは許可制です。

ただし書きで除かれるのは、政令で定める軽易な行為、非常災害の応急措置、都市計画事業の施行として行う行為などです。通常の店舗の新築はいずれにも当たらないので、許可の対象になります。

もう一点、第53条第3項は「第一項の規定は、第六十五条第一項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内においては、適用しない」としています。事業の段階に入ると第53条ではなく第65条に切り替わる、という整理です。段階が進むほど別の条文が働く構造になっています。

2階建てなら「許可をしなければならない」

許可制と聞くと裁量で決まるように思えますが、第54条は許可しなければならない場合を3つ挙げています。出店実務で効くのは第3号です。

「当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。
イ 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
ロ 主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であること。」(第54条第3号)

条文の柱書きは「その許可をしなければならない」です。要件を満たせば、行政に断る余地はありません。整理すると次のようになります。

要件条文の内容店舗での意味
階数階数が2以下で、かつ地階を有しないこと平屋・2階建てまで。地下は不可
構造主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造ロードサイド型の木造・鉄骨造は該当しうる
移転・除却容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること階数と構造の要件に加えて、個別に認められる必要がある

3つめが独立した要件になっている点に注意が要ります。イとロを満たしていれば自動的に通るのではなく、「容易に移転し、又は除却することができる」と認められることが別に求められています。

裏を返せば、鉄筋コンクリート造や3階建て、地階を設ける計画は第3号の枠から外れます。同じ区画でも、建てようとする建物の仕様によって成否が変わるということです。ロードサイドの平屋店舗と、都心の中層ビルとで話が違ってくるのはこのためです。

なお第54条には第1号(都市計画のうち建築物について定めるものに適合する場合)と第2号(立体的な範囲が定められている場合にその外で行い、著しい支障を及ぼすおそれがないと認められる場合)もあります。第11条第3項は道路などの都市施設について「当該都市施設の区域の地下又は空間について、当該都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に定めることができる」としており、立体的な範囲が定められている区域では、その外側での建築という考え方が成り立ちます。

事業予定地に指定されると前提が変わる

ここまでが計画決定の段階です。次の段階が第55条の指定です。

「都道府県知事等は、都市計画施設の区域内の土地でその指定したものの区域……(次条及び第五十七条において『事業予定地』という。)内において行われる建築物の建築については、前条の規定にかかわらず、第五十三条第一項の許可をしないことができる。」(第55条第1項)

「前条の規定にかかわらず」が効いています。第54条の「許可をしなければならない」が外れるので、2階建て木造であっても許可されない可能性が出てきます。同じ都市計画道路の区域でも、事業予定地に指定されているかどうかで結論が変わります。

そのかわり、土地の所有者には出口が用意されています。

「都道府県知事等……は、事業予定地内の土地の所有者から、同条第一項本文の規定により建築物の建築が許可されないときはその土地の利用に著しい支障を来すこととなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があつた場合においては、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。」(第56条第1項)

建てられないなら時価で買い取ってもらえる、という組み合わせです。ただしこれは土地の所有者の権利であって、借りて出店する側には直接は効きません。賃借を前提にした出店では、この条文は自分の側の手札にならない点は押さえておきたいところです。

指定をするときは第55条第4項により公告が行われます。公告があるかどうかは、その土地がどの段階にあるかを外から判断する手がかりになります。

売るときにも制限がかかる

事業予定地では、土地の売買にも手続が入ります。第57条です。

「前項の規定による公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業予定地内の土地を有償で譲り渡そうとする者……は、当該土地、その予定対価の額……及び当該土地を譲り渡そうとする相手方その他国土交通省令で定める事項を書面で都道府県知事等に届け出なければならない。」(第57条第2項)

そして届出のあと、次のように続きます。

「前項の規定による届出があつた後三十日以内に都道府県知事等が届出をした者に対し届出に係る土地を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地について、都道府県知事等と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。」(第57条第3項)
「第二項の届出をした者は、前項の期間……内は、当該土地を譲り渡してはならない。」(第57条第4項)

つまり買おうとしている側からすると、行政が先に買う可能性があるということです。しかも届出から30日は譲渡が止まります。土地を取得して出店する計画では、この期間をスケジュールに織り込む必要があります。

第57条第2項の括弧書きが「土地及びこれに定着する建築物その他の工作物を有償で譲り渡そうとする者を除く」としている点も実務では効きます。建物ごと譲渡する場合は、この届出の対象から外れる書き方になっています。

事業認可の告示が出たあと

三段階目が事業の段階です。第4条第15項は「都市計画事業」を「この法律で定めるところにより第五十九条の規定による認可又は承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいう」と定義しています。認可を受けて告示が出ると、第65条が働きます。

「……告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。」(第65条第1項)

第53条との違いは、対象が建築物にとどまらないことです。土地の形質の変更、工作物の建設、そして移動の容易でない物件の設置や堆積まで含みます。看板の基礎工事や、資材・商品の屋外での常置なども、内容によっては読み込まれうる書き方です。

さらに第65条第2項は、許可を与えようとするときはあらかじめ施行者の意見を聴かなければならないとしています。判断に事業を実施する側が関与する構造になっており、計画決定の段階とは性質が違います。

また第66条は、告示があったときに施行者が公告を行い、事業地内の土地建物等の有償譲渡の制限を関係権利者に周知し、事業の概要を「事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置」を講ずるよう努めるとしています。周辺で説明会が開かれていれば、その道路が事業の段階に入っているサインです。

出店前に確認する順番

ここまでを踏まえると、確認は次の順になります。

順番確認すること効いてくる条文
1都市計画図で、敷地が都市計画施設の区域にかかっているか第11条第2項(種類・名称・位置・区域)
2かかっている場合、事業予定地の指定(第55条第4項の公告)があるか第55条・第56条・第57条
3事業の認可・告示が出ているか第65条・第66条
4建てようとする建物が第54条第3号の要件に収まるか第54条第3号(階数・構造・移転除却)

1は都市計画図で見えますが、2と3は図からは読み取れないことが多く、市区町村の都市計画課への確認が確実です。「都市計画道路にかかっています」という一行だけでは、どの段階かが分かりません。制限の強さが三段階で違う以上、段階を特定しないまま判断すると、必要以上に候補地を落とすことにも、逆に見誤ることにもつながります。

あわせて、その道路が実際に整備された場合の商圏の変化も見ておく価値があります。前面道路が広がれば通行量も来店経路も変わるからです。周辺の交通量の調べ方は通行量調査のやり方道路交通センサスの使い方に、立地条件の全体的な押さえ方は立地調査の方法に整理しています。市街化区域と市街化調整区域の別や地区計画の有無も同じ図面で確認できるので、市街化調整区域の調べ方都市計画マスタープランの読み方とあわせて確認すると、その一帯がどちらへ向かっているのかが見えてきます。駐車場の必要台数は別の条例で決まるため、駐車場の附置義務も同時に確認してください。

出典:e-Gov法令検索「都市計画法」(昭和四十三年法律第百号)第4条、第11条、第53条、第54条、第55条、第56条、第57条、第65条、第66条。引用は同法の条文によります。政令・省令および都道府県・市町村の運用により取扱いが異なる場合があるため、個別の可否は必ず所管の都市計画課にご確認ください。

よくある質問

都市計画道路の区域内には建物を建てられないのですか。

建てられないわけではありません。都市計画法第53条は建築を許可制にしているだけで、第54条第3号は、階数が2以下で地階を有しないこと、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること、そして容易に移転し又は除却することができると認められることの要件を満たす場合、都道府県知事等は「その許可をしなければならない」と定めています。

3階建ての鉄筋コンクリート造は建てられますか。

第54条第3号の要件からは外れます。同号は階数2以下・地階なしを求め、構造も木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造としています。ただし第54条には第1号と第2号もあり、都市計画のうち建築物について定めるものに適合する場合や、都市施設を整備する立体的な範囲の外で著しい支障がない場合にも許可されます。個別の可否は都道府県知事等の判断になります。

「事業予定地」に指定されると何が変わりますか。

許可されない可能性が出てきます。都市計画法第55条第1項は、都道府県知事等が指定した土地の区域内で行われる建築については「前条の規定にかかわらず、第五十三条第一項の許可をしないことができる」としています。2階建て木造なら許可しなければならない、という第54条の縛りが外れる形です。そのかわり第56条により、土地の所有者は時価での買取りを申し出ることができます。

事業予定地の土地を売買するときに制限はありますか。

あります。都市計画法第57条第2項は、公告の日の翌日から起算して10日を経過した後に事業予定地内の土地を有償で譲り渡そうとする者に対し、土地・予定対価の額・相手方などを書面で届け出ることを義務づけています。届出から30日以内に買い取る旨の通知があれば、届出書の予定対価の額で売買が成立したものとみなされ、その期間内は譲渡できません。

事業の認可が出たあとはどうなりますか。

制限がもう一段強くなります。都市計画法第65条第1項は、告示後の事業地内で「都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設」や、政令で定める移動の容易でない物件の設置・堆積を行う場合に都道府県知事等の許可を求めています。建築だけでなく土地の形質の変更や物件の堆積まで対象に入る点が第53条との違いです。

都市計画道路にかかっているかは、どこで分かりますか。

市区町村の都市計画情報の閲覧サービスや都市計画図で確認します。区域は都市計画法第11条第2項により都市施設の種類・名称・位置・区域として都市計画に定められています。用途地域と同じ図面上に重ねて表示されることが多く、用途地域の調べ方と同じ経路で確認できます。ただし計画決定・事業予定地の指定・事業認可のどの段階かまでは図から読み取れないことがあるため、都市計画課への確認が確実です。